
PC上の操作手順を記録し、画像付きのマニュアルを自動で生成するツール「M-Baton(エムバトン)」
このツールを開発するにあたり、私たちはあえて「PCのローカル環境で完結するデスクトップアプリ」という仕様を選択しました。
今回は、なぜ私たちがローカル管理にこだわったのか、その思想をお伝えしたいと思いこの記事を書いています。
顧客情報をクラウドに上げられない業界のリアルな悩み
業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)が当たり前となった今、業務システムのクラウド化はすっかり標準的な選択肢となりました。物理的なサーバーを持たず、いつでもどこでも最新の情報にアクセスできるクラウドサービスは、間違いなく便利です。
多くの企業がクラウド型ツールを導入してマニュアル作成を自動化する一方で、構造的にそれが許されない業界や職種が存在します。
たとえば、以下のような環境です。
顧客の口座情報や信用情報を扱う「銀行・金融機関」
企業の未公開の財務データや決算書を扱う「税理士・会計士」
個人のプライバシーに直結する係争データを扱う「弁護士・法律事務所」
業務手順のマニュアル化には、実際のシステム画面のスクリーンショットが不可欠です。
しかし、便利なクラウド型ツールを使うということは、操作画面のキャプチャ画像や入力データが「ツール提供者の外部サーバー」へ自動的にアップロードされることを意味します。
コンプライアンスや業界のセキュリティガイドラインを遵守する組織にとって、顧客情報が少しでも映り込む可能性がある画像を外部に預けることはできません。
結果として、「ツールを使えば楽になるのは分かっているのに、セキュリティ上の理由からWordやExcelに手作業で画像を貼り付け続けるしかない」という課題を抱えています。
Obsidianが思想から見る「ローカルファースト」の価値
すべてをクラウドに集約する流れに対するカウンターカルチャーとして、「ローカルファースト」という設計思想が世界的に再評価されています。
その代表例が、多くの熱狂的なユーザーを持つ知識管理アプリ「Obsidian(オブシディアン)」です。
メモやドキュメントを外部サーバーに保存するサービスが多い中、Obsidianは「データはすべてユーザー自身のPC内(ローカル)に保存する」というアプローチを徹底しています。(※ここではObsidianについての説明は省きます)
この思想の根底にあるのは、「データの主権(コントロール権)は、サービス提供者ではなくユーザー自身にあるべきだ」という哲学です。
M-Batonがローカル完結型にこだわったのも、まさに同じ想いからです。企業の心臓部とも言える顧客情報やシステム画面の記録は、外部に依存せず、自社の手元で完全にコントロールできるべきだと考えています。
M-Batonの開発:利便性か、安全か
M-Batonのプロジェクトが始まった当初は、私たちも「マニュアルはクラウドで管理する方が運用面では絶対に便利だ」と考え、その方向性で開発を進めていました。
そもそもマニュアルは「作って終わり」ではありません。現場で実際に使われ、業務の変化に合わせて更新され続ける「運用」にこそ、本来の意義があります。
だからこそ、URL一つでチーム全員に共有でき、誰もが常に最新版にアクセスできる仕組みの方が、運用を前提とした現代のツールとして圧倒的に洗練されていると考えたのです。
しかし、前述したような「セキュリティの厳しい企業は手作業のまま取り残されてしまうのか?」という実態や、Obsidianの思想にもある「自社の財産であるデータは本当に安全か?」という問いに直面し、何度も議論を重ねました。
さらにAIの台頭も考えなくてはなりませんでした。AIによるセキュリティリスクが懸念される中で、絶対の安全を保証できるのか。
あまり大きな声では言えませんが、仮にデータを外部に預けるのだとすれば、自前で中途半端なクラウド環境を構築するより、Google CloudやAWSなどの巨大インフラに預けるのが一番安全ではないか?という、葛藤や悩みもありました。
私たち(M-Baton)が選んだ方向性
私たちは「企業の心臓部とも言える顧客情報やシステム画面の記録は、外部に依存せず、自社の手元で完全にコントロールできるべきだ」という結論を出しました。
どれだけ堅牢な大手クラウドを使ったとしても、インターネットを介して外部にデータを送信する以上、リスクをゼロにすることはできません。
セキュリティの壁に阻まれて業務効率化に踏み込めない組織に対して、クラウドの利便性を捨ててでも「完全なるローカル環境」を提供する。私たちはそう決断し、M-Batonの方向性を大きく転換しました。
「安全と便利」を両立する仕組み
この方向性をもとに、M-Batonは機密情報を外へ出さない仕組みを構築しました。
M-Batonは、お使いのPCに直接インストールして動かすデスクトップアプリです。 ユーザーが顧客管理システムなどを開き、普段通りに作業を進めると、クリックやキーボード入力のたびにM-Batonがその瞬間の画面を撮影し、PC内にある専用フォルダへ直接保存していきます。
この記録プロセスにおいて、インターネット回線を通じて外部サーバーへデータが送信されることは一切ありません。
記録された生データは完全にローカルに留まるため、万が一機密情報が映り込んでしまっても、外部へ漏れる前にM-Batonの編集画面で安全にモザイク処理を行うことができます。
さらに、マニュアルの説明文作成においては、AIの恩恵を「ユーザー主導で」安全に受けられる設計を採用しました。
システムが裏側で勝手にデータを送信することはありません。ユーザーが明示的に「AI提案ボタン」を押した特定のステップだけがAIに送られます。
手元で機密情報を黒塗りやモザイクで隠してしまえば、AI側にそのデータが渡るリスクはありません。どうしても不安なステップはAIを使わず完全に手動で入力し、問題のない一般的な操作部分だけをモザイク済みの画像でAIに任せる。
このように、データの送信をシステム任せにせず、コントロール権を完全にユーザーの手に委ねています。
現場の課題に寄り添う、これからのDXの形
マニュアル作成が完了した後は、PDFやPowerPoint(PPTX)、HTMLなどの形式でファイルを出力できます。
最終成果物は自社の手元に「資産」として残るため、クラウドのURL共有に頼らずとも、社内の厳格なセキュリティポリシーに準拠したファイルサーバーなどで安全に管理・共有(運用)していただけます。
クラウド化だけがDXの正解ではありません。
「顧客情報を守り抜くこと」と「現場のめんどくさい作業を自動化すること」。
この2つをトレードオフにせず、誰もが安心して業務効率化の恩恵を受けられること。 それこそが、私たちがM-Batonというツールを通じて最も大事にしている価値観です。
PC操作手順を記録、マニュアル自動生成なら「M-Baton(エムバトン)」
セキュリティの都合でクラウド型ツールを導入できず、未だにWordやExcelで手作業のマニュアル作成に追われている。M-Batonは、そんな現場の「見えない人件費」や「めんどくさい作業」を解消するために生まれました。
いつものPC操作をするだけで、安全なローカル環境のまま、誰が作っても分かりやすいマニュアルが自動で完成します。
「クラウドは使えないけれど、マニュアル作成の負担をどうにかしたい」とお悩みの方は、ぜひ一度、M-Batonの「安全と便利」を両立した操作感を体験してみてください。
すぐに利用可能なFree版(無料)をご用意しておりますので、まずはご自身のPC環境で動作をお試しいただけます。

関連記事

『めんどくさいスクショ撮影をなくす』マニュアル作成自動化ツール『M-...
業務の引き継ぎや新人教育に欠かせない「マニュアル作成」や「手順書作成」。...
続きを読む

マニュアルと手順書の違いとは?役割を分けて現場が「迷わない」資料整備...
そのマニュアルや手順書は、現場を「迷わせて」いませんか?せっかく作成した...
続きを読む

Windows「ステップ記録ツール」の代わりは?おすすめ代替アプリ5...
Windowsに標準搭載されていた「ステップ記録ツール(PSR)」。PC...
続きを読む
記事一覧へ